復讐の鬼、錦えもん
錦えもんは二十年前のあの日から、いやもっと前から彼はオロチ、カイドウに悩まされていました。
ワノ国は糞ババアヒグラシと糞ジジイ蝉丸に担がれた糞外道オロチによって、いとも簡単にワノ国中枢の将軍家に侵入されてしまいます。
おでんの姿とスキヤキの姿を借りる事で、いともたやすく。
その結果、元々ワノ国は諸外国と交流せずとも、一国で食っていける国だった筈が、生活用水や豊かな土壌、資源、食料等が、武器工場になり果ててしまったのです。
当然、その工場は国の若い衆が労働力として強制的に働かせられ、その結果、ワノ国は当然諸外国と交流していないので、もし武器工場に若い衆が集まれば、ワノ国の農業、商業、工業、大工、料理人、猟師、漁師、職人、兎も角働く若い男がいなくなり、衰退していくしかありません。
その結果、ワノ国は数年も経たず、貧乏で資源が乏しく、世界から助けが来ない荒廃した国になってしまいます。
それは当然、九里も影響を受けてしまい、つぎはぎだらけの着物を着るはめになります。
人の生活は来ているモノで豊かどうかを判断できますが、明らかに貧乏な生活を強いられていたのが、当時の錦えもん達です。
そして、遂におでんが帰郷したと思いきや、オロチがワノ国の人間を人質に取ったことで、おでんですら止められてしまうのでした。
ですが、おでんはヒョウ五郎の親分の奥さんを殺され、ヒョウ五郎が兎丼採掘場に捕まり、挙句最初から五年間の約束を守る気が無かったのを思い知り、遂に討ち入りを決行するに至ります。
遂にオロチのバック、カイドウと戦い、桃源十拳で致命傷を与え、そのまま斬り捨てようとしますが、糞ババアひぐらしが息子モモの助に化け、一瞬の油断から、カイドウに気絶させられます。
かくして、本来であれば、二十年前にカイドウを討てていても可笑しくはなかったのですが、おでんの死により、果たせなくなったのです。
錦えもんはそんな二十年前から、一気にタイムスリップしており、彼にとっては数カ月前のことなんです。
故にその怒りは、誰よりも強いと言えます。
カン十郎を殺すという事
そして、目の前でおでんを殺され、トキをも喪った錦えもん。共にそれを間近で見て、同じようにタイムスリップした同心であるカン十郎が裏切り者と発覚した時の怒号は凄まじいものでした。
そもそも、カイドウを討つのは最初からカン十郎が情報を送っていたから、全面戦争になったのです。
いうなれば、カン十郎がスパイとして潜入していなければ、もっとカイドウを倒せていましたし、オロチも既に亡き者に出来た筈です。
錦えもんとしては、カン十郎を殺した事はなによりも悲しかったですし、最初から赤鞘九人男のカン十郎として、演技をしていただけに過ぎません。
故に錦えもんはカン十郎を今度こそ、亡き者にしようと動くと考えています。生きて償うのではなく、せめて自分の手で葬ることを決めているでしょう。